シーラカンス

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おぼえてますかね、以前した会社設立の話。その続き。

 

もう一昔前のことですが、当時の株式会社の取締役の任期は2年。中1の自分が中3になるのはメッチャ未来な感じがしましたが、大人になってからの2年なんてあっという間。株式会社の場合、何もなくてもあっという間に役員改選という登記の機会がやってきてたわけです。その頃は最低資本金制度も存在してて、登記しなくちゃならんことがイッパイ。これらを怠って放っておくと、法務局が職権で会社を解散させることができました。登記官が勝手に会社を潰しちゃうってワケ。

 

ていう最低資本金制度時代に実際にあった話ですが、役員改選を何回分も放置、最低資本金も放置、て株式会社がありまして。これが見事に職権解散させられちゃった。ま、当方としては何度も「このままではヤバいっす」と忠告したのですが、何せ登記の予算がないし、登記官の職権発動がいつなのか明確に決まってないとなると、今日大丈夫なら明日も大丈夫だろ、となるわけです。で、ついに「いつ解散?今でしょ!」となったと。そのまま会社をなくすワケにはいかなので復活させるのですが、これがまた大変。解散の日で決算せねばならず、その時点で税務申告が必要。さらに解散した会社を復活させるので登記やら税務署への届出やら、会社設立に準ずる諸手続が必要。まさに「倍返し」されちゃった。

 

なんと現在では、あれほどクリアに苦労した最低資本金制度はなくなりました。役員任期も定款を整備して最長10年に出来ます。それでも株式会社である以上は役員改選の時期は必ず来るので、放置→職権解散で「じぇじぇじぇ」とならぬようご注意。決して流行語を言いたいだけではないっす。

 

しかし、その観点からすると「有限会社」はしぶとい。役員改選とは無縁なので当時の最低資本金さえ乗り越えたなら、そこからは何年放置されてても勝手に消されることがない。まぁ時間的には以前書いたような税務上のメリットは消えてるはずなので、放置有限会社を積極的に買い取る価値はほとんどないけど、今も深い海の底で静かに生きる古代魚のような放置有限会社はたくさんあるでしょうな。

 

(残り一つの流行語は言わないのかって?もう段落の先頭に仕込んでありますぜ。)