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公共工事の入札希望なら経営事項審査

 国や地方自治体の公共工事の入札に参加したい建設業者は、建設業許可を受けた上で、経営事項審査を受審しなければなりません。経営事項審査とは、様々な項目につき客観的に点数やランク付けをし、入札に参加する際の基準とします。簡単に言えば評点が高いほど優良会社となるわけですが、公共工事の入札に参加することを考えていない事業者は、高評価が期待できる状況であっても経営事項審査を受ける必要はありません。

 この制度の目的は建設業許可制度と同じく適正な施工の確保ですが、公共工事は税金が使われるので建設業許可よりさらに細かく厳正な審査がされます。

審査基準日と有効期間

 審査基準日は、経営事項審査の申請をする日の直前の事業年度の終了の日です。

 有効期間は、経営事項審査の結果が通知されたときに開始し、審査基準日から1年7ヶ月経過したときに終了します。

 「1年7ヶ月」と聞くと中途半端な期間に思えますが、仕組みとして結局は毎年審査を受けなければならないように出来ています。入札参加資格自体は有資格業者登録が行われれば2年間有効となることが多いのですが、その期間とは関係なく経営事項審査結果の通知を受けなければ入札参加資格を失い、その間の入札はできません。さらには万が一入札不可の期間に入札した場合には、指名停止を受けて長期間入札できない事態に陥る可能性があるのでご注意下さい。

審査事項の内容

 経営事項審査は、建設業者の「経営規模」「技術力」「社会性」「経営状況」を審査し、総合評定値(P評点)を算定します。

総合評定値(P評点)=0.25X1+0.15X2+0.20Y+0.25Z+0.15W

 X1= 業種別完成工事高(2年or3年平均を選択可能)
 X2= 自己資本額と平均利益額(自己資本は直前or直前2期平均を選択可能)
 Y = 経営状況(民間機関で算定された値)
 Z = 業種別技術職員数と業種別元請完成工事高(工事高は2年or3年平均を選択可能)
 W = その他の審査事項(労働福祉や営業年数、機械の保有等)

 どの項目を伸ばせば効率よく高評点が狙える、というようなことのないように絶妙な配分がされています。

 このP評点に応じて「S・A・B・C・D」のような格付けがされ、その受注できる工事の範囲が決まります。たとえば国土交通省が発注する5億円の土木工事を請け負う場合、Bランク以上の格付けが必要です。P評点が上がればランクも上がるのですが、ちょっとした対策で大きく変動するものでもなく、中長期的なビジョンを持ってじっくり対策しないとP評点は上がりません。

 ただし上の表からもわかるように、2年か3年か有利な方を選択できる項目があったりと、少しの工夫で評点アップを図れるのも事実です。また、経営事項審査は建設業の業種毎に申請するのですが、一つの業種を他の業種に組み込んでしまう「積み上げ」という方法もあります。「積み上げ」をすると組み込まれた業種での申請しかできないという制約もありますが、選択肢としては無視できません。その時点でのベストスコアを叩き出すためには細かいシミュレーションが必要です。

各項目の詳細

指標評価項目内容
X1業種別完成工事高業績上昇中なら2年平均、下降中なら3年平均、有利な方を選択可能ですが、業種毎に選択を変えることは不可。
X2自己資本額
平均利益額
自己資本額は直前期末の額か直前2期平均額かを選択可能。平均利益額は減価償却前・税引前の利益額で、直前2期平均。
Y純支払利息比率
負債回転期間
総資本売上総利益率
売上高経常利益率
自己資本対固定資産比率
自己資本比率
営業キャッシュフロー
利益剰余金
とにかく借入金は少ない方が良く、自己資本や利益は多い方が良い。売上や利益の質を審査する項目。資金繰りを借入に頼る会社は点数が下がり、キャッシュフローの多い会社は点数が上がる仕組み。
Z技術職員数
元請完成工事高
1人が複数の資格を持つより資格者が多い方が有利に。元請工事高はやはり2年平均か3年平均を選択可能。
W労働福祉・営業年数
防災活動・法令遵守
建設業経理・研究開発
建設機械保有・ISO取得
雇用保険・社会保険の加入がないと大幅減点。営業停止も大幅減点。建設業経理士は2級資格だけでも充分な加点。

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